新型コロナ感染症流行時のACPについて

「自分らしい生き死にを考える会」から皆さまへのご提案

 新型コロナウィルス感染が全世界に広がり、私たちは経験をしたことのない脅威にさらされております。この事態を悪化させないために、私たち一人一人ができることは、自分が感染しないこと、万が一感染したとしても、他人に拡散させないこと、いわゆる3密を避ける以外にありません。仕事が縮小され、家庭にこもり、家庭内の雰囲気が悪くなるなどの弊害も伝えられておりますが、私たち「自分らしい生き死にを考える会」としての日々の過ごし方について、提案をさせていただきます。

 私たちは2008年から本会を立ち上げ、『私の生き方連絡ノート』を発行し、各所において講演会なども開催しながら、「自分らしい生き死にを考える」の活動を地味ながらも継続してまいりました。おかげさまで『私の生き方連絡ノート』の発行部数は6万部を超え、多くの反響をいただいております。2018年に入って、厚労省や日本医師会がACP(アドバンス・ケア・プランニング)を推奨し始めたことも後押しとなっております。

 今の世界の情勢を見るにつけ、いつ自分や家族、近しい人が新型コロナウィルスに感染してしまう、もしくは知らず知らずのうちに感染させてしまうといった事態に陥ることも考えられる状況になってきてしまいました。
 不幸にも感染してしまうと、隔離病棟に入ってしまうこともあり、家族などと十分な連絡が取れなくなってしまう可能性があります。また、人工呼吸器がつけられ、会話ができなくなってしまうことも考えられます。最悪の場合、短期間のうちに生死を彷徨うような状況になってしまうかもしれません。
 そのようなときに、「自分は何を大切に思いながら生きてきたのだろう?」「何を大切に、これからの人生を過ごそうと考えていたのだろう?」などと思っても、それを十分に伝えることができない可能性があります。周りの近しい人たちも、「もっと話しておけば、きちんと聞いておけば……」と後悔する場面もあるかと思います。

『私の生き方連絡ノート』の大半は、「人工呼吸をつける・つけない、集中的な治療を希望する・しない」などのような医療行為の選択ではなく、「自分の人生の中で、何を大切に生きてきたか?」「自分は、これからの人生を、どのように過ごしていきたいと考えているのか?」など、自分の人生観を振り返って考えながら、ノートに自分の言葉で書き記す形態をとっています。
 具体的な医療行為は、実際の場面になってみないとわからないところが多々あります。現状において、医療チームは最善の努力をしてくれるものと考えられます。しかし、感染大爆発により医療資源が枯渇してしまったときに、自分、もしくは近しい人に、どのような医療資源が配分されるのかは全く予想がつきません。
 ですので、これからのACPにおいては、具体的な医療行為に対する希望を考えるよりも、まずは自分の人生観、死生観について考えてみて、それを家族などの近しい人に伝えておくことが大切なのではないかと思います。そのために、『私の生き方連絡ノート』は、他の事前指示書やACPに関連した成果物よりも役立つのではないかと考えております。

 そこで、この度、当会のHPを通じて『私の生き方連絡ノート』の簡易版として、【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する特別公開版】を無償で公開することといたしました。興味のある方は、ぜひご覧になり、ご自由にダウンロードしていただければと思います。

 そして、この非常事態を乗り切った後に、皆で、このノートを題材にして談笑できる日が一日も早く訪れてくれることを願ってやみません。


 自分らしい生き死にを考える会

 代表:渡辺 敏恵(医師) 副代表:三浦 靖彦(医師)

『私の生き方連絡ノート【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する特別公開版】』

私の生き方連絡ノート 簡易版

下のボタンをクリックすると、『私の生き方連絡ノート【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する特別公開版(以下、簡易版)】』のPDFが表示されますので、プリンターで印刷してご使用ください。

『私の生き方連絡ノート【簡易版】』(PDF)を表示する